京都への観光客で交通など混雑、地元住民9割「迷惑する人がいる」…市内観光地には「ほぼ行かず」22%
京都市民を対象に市が実施した観光への意識調査で、市バスの混雑や観光客のマナー違反など、オーバーツーリズムによる悪影響が生じていると指摘する声が9割に上った。
市は対策を強化するが、市民の多くが取り組みを知らない状況も浮き彫りになった。(岡田優香)
新型コロナが感染症法上の5類に移行し、訪日客の回復が進んだ秋の観光シーズンの昨年10月31日〜11月27日に実施。無作為に抽出した18歳以上の市民5500人が対象で、2465人(有効回答約44・8%)が答えた。
観光客らが市にもたらす影響について、バスや地下鉄などの混雑で「迷惑する人がいるか」を尋ねると、「とてもそう思う」が38・5%、「そう思う」が33・6%、「どちらかというとそう思う」が18・1%と、否定的な回答が大部分を占めた。観光客のマナー違反で迷惑する人がいるかについては、「とても思う」が33・6%、「思う」が31・7%、「どちらかというと思う」が21・5%。私有地への無断侵入やごみのポイ捨てなどを訴える人もいた。
市は、バス乗車時に大型荷物を持ち込まない「手ぶら観光」を推進するなど対策に注力するが、取り組みを「知っている」と答えたのは18・3%にとどまった。
一方、観光が市の発展に重要な役割を果たしているかについては、「とても思う」が29・1%、「思う」が43・6%で、7割が肯定的に認識していた。売り上げ増加など地域経済への好影響やまちの活性化に期待を寄せる声のほか、「京都の文化が注目され、日本や京都の良さが再認識される」と歓迎する声も多かった。
市民が市内を観光するかについては、寺社や美術館などを訪れる頻度は「友人が京都に来たときなど不定期」が25・8%で最も多く、「ほとんど行かない」が22・6%だった。市民が優先して観光できる時間の設定を求める声もあった。