道路はめくれてぐちゃぐちゃ、まるで地震 陥没事故で生活一変、住民は避難所へ 広島市西区
穏やかなはずの生活が足元の異変で一変した。広島市西区で26日、地中での工事のさなかに道路の陥没や隆起が発生した。
付近の住宅や事業所の建物にもひび割れや傾きなどの被害が広がり、自力で屋外に避難ができなかった人も。
「地震と思った」「家に帰れるのか」。避難所生活を余儀なくされるなど、住民に衝撃と不安が広がった。
この日の午前9時台。西区福島町2丁目で5本の道に分かれる交差点付近は道路がめくれ、アスファルトの塊が地中に沈んでいた。
他にも隆起などはないものの、ひび割れた箇所はいくつもあった。近くに住む男性(73)は「部屋にいたらドーンという音がして、体がぐらっとした。地震かと思って外に出たら…」。水もあふれ、ぐちゃぐちゃな道路に衝撃を受けた。
「危ないので近づかないでください」「離れてください」。現場付近では、警察官や消防隊員の声が響いた。しばらくして「倒壊の恐れがあります」「建物の崩落が始まっています」と内容は変わり、緊迫感が増した。
道路の異変は付近の建物にも影響した。4階建ての市営住宅の外壁は屋上付近から縦にひびが入った。傾いた民家もあり、建物の倒壊を不安視する声が相次いだ。
福山通運(福山市)によると、社宅などが入る広島主管支店はビルが傾くなどした。
現場から半径50メートルの範囲は立ち入り禁止となり、市は近くの観音小と観音公民館に避難所を開設した。午後9時半現在、22世帯42人が避難している。断水や濁った水が出ている世帯もあるという。
「被害が出た住宅や避難した住民の生活支援がどのようにされるのか」。福島町3区町内会の高山昌潤会長(86)は気をもんだ。
テントや毛布、飲食物が運び込まれた避難所で主婦(54)は疲れた表情でつぶやいた。「朝、避難した時はすぐに自宅に戻れると思い、服も持って来ていない。今の状況に頭が追いつかない」