チーズを1日4kg食べていたせいで体からコレステロールがにじみ出るようになってしまった男性の症例報告
ミカンやニンジンを食べ過ぎると肌が黄色くなってしまうという話を聞いたことがある人は多いはず。
チーズやバターを大量に食べて過ごしていたところ、血管から脂質がにじみ出て体の一部が黄変してしまったアメリカ人男性の症例が報告されました。
サウスフロリダ大学タンパ総合病院と、テキサス大学ヒューストン校心臓病学科の医師らは2025年1月22日付の学術雑誌・JAMA Cardiologyで、3週間前から手のひら、足の裏、肘に無症候性の黄色い結節ができるようになったとの病状で来院した男性の症例を紹介しました。
フロリダ州に住むこの男性は、診察の約8カ月前から「肉食ダイエット」をしていたとのこと。そのダイエットとは、1日に6〜9ポンド(約2.7〜4kg)のチーズ、棒状のバター、ハンバーガーを含む非常に脂肪分が多い食生活を送ることです。
肉食ダイエットにより男性は体重が減り、エネルギッシュになり、頭がクリアになったと主張していますが、引き換えにコレステロール値が1000mg/dLと、基準値の210〜300mg/dLを大幅に上回る脂質異常となっていました。
男性を診た専門医は、この症状を「眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)」と診断しました。
眼瞼黄色腫は、血管から余分な脂質がにじみ出て沈着物を形成する病気です。健康な人の場合、血管から漏れ出た脂質はマクロファージという白血球の一種によって回収されます。
しかし、大食細胞とも呼ばれるマクロファージでも食べ尽くせないほど脂質が多い場合、マクロファージはため込んだコレステロールで膨らんだ泡沫細胞に変貌し、体組織に沈着します。
このような沈着物は、一般的にまぶたの上にできます。これは、生涯にわたって瞬きを繰り返すことでその部分の血管が弱くなり、脂質が漏れやすくなってしまうからだと考えられていますが、今回報告された男性では手のひらに黄色い結節ができてしまったように、黄色腫は体のどこでも発生します。
眼瞼黄色腫は必ずしも高コレステロールや心臓病のリスクと関連しているわけではないといわれていますが、総コレステロール値が高いことは冠状動脈性心疾患と強く関連しています。例えば、コレステロールをため込みすぎたマクロファージが血管を詰まらせると、心筋梗塞や脳卒中の原因となります。
医師らは、「このケースは、食事パターンが脂質レベルに与える影響と、合併症を防ぐために高コレステロール血症をコントロールすることの重要性を浮き彫りにするものです」と記しました。