梅毒感染者21年以降に急増…滋賀県では昨年過去最多に、「治療しないと赤ちゃんにも影響」
滋賀県は、性感染症「梅毒」の感染者が昨年に県内で86人報告され、過去最多を更新したと発表した。
全国的に増えており、県内では2015年から若い世代中心に増加傾向が続いている。県は不特定多数との性的接触を避けることや、早期の受診を呼びかけている。(矢野彰)
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、主に性的な接触で性器や口、肛門から感染して発症する。約3週間で性器や口周辺にしこりができ、数か月すると手足や体に「バラ疹」と呼ばれる赤い発疹が出るなどするという。
抗菌薬で治療できるが、しこりや発疹は自然に治まる場合もあり、長年放置すると皮膚や筋肉、臓器に腫瘍ができるなどして死亡するケースもある。妊婦が感染すると、胎児にうつる「先天梅毒」になり、死産などにつながる恐れもある。
増加の原因は不明だが、SNSやマッチングアプリの普及に伴い、不特定多数との性交渉の増加を指摘する声もあるという。
県内での報告数は1桁台が続いていたが、15年に14人となり、16〜20年は30人前後で推移。21年以降に急増している。24年は男性61人、女性25人で、年代別では20歳代(38人)と30歳代(14人)を中心に、80歳代(3人)まで幅広い世代で感染が確認された。
県健康危機管理課は「治療しなければ他の人に感染を広げ、赤ちゃんにも影響してしまう。不安な人は検査で早期発見をしてほしい」と呼びかけており、各保健所で無料検査が匿名のまま受けられる。