「まるでペンキ」5年間で相談件数は4倍 急増する「ニセ化粧品」 健康被害のおそれも
「まるでペンキのようだった」と、相次ぐ怒りの声。今、ネットのショッピングサイトなどに出回る偽の化粧品。怪しい商品を記者が入手し、調べてみました。
Aさん
「まさか化粧品で偽物が作られていると想像もしなかったので、衝撃でしたね、こんなことあるんだと思って」
関東に住む30代のAさん。去年、「Yahoo!ショッピング」で「資生堂」が展開するブランド「クレ・ド・ポーボーテ」の定価7700円の化粧下地を半額以下の3090円で購入。ところが、それが偽物だと感じたといいます。
Aさん
「来たときには、ふだん百貨店で買うようなパッケージと若干違いがあって、出してみたらペンキみたいな感じで、かなりクリームが重くて伸びないんですよ。香りがかなり強かったです」
おかしいと感じたAさんは出品者に連絡します。
Aさん
「これ正規品ですか?」
ストア
「弊店では国内正規品と海外正規品、どちらが引き当てられるかお選びいただけません。海外正規品(並行輸入商品)については、国内の百貨店などでお買い求めになった商品とパッケージ・香り・質感・色味・付属品が若干異なる場合がございます」
Aさん
「これはテクスチャーとか違うけど、国内正規品の海外バージョンですと言われて。それって偽物ですよね?と聞いたら、そうじゃなくてっていう、偽物ということをかたくなに認めなかったです。返金するから、これ以上何も言わないでくれみたいな、誠実な対応ではないと思います」
そこで取材班も、ネットショップで「クレ・ド・ポーボーテ」の化粧下地として、正規品より1500円ほど安く出品されていたものを入手しました。すると…
記者
「においもこの時点で、今、顔と離れているんですけど、ツンとするようなにおいがします」
中身を出してみると、正規品は滑らかに広がっていくのに対し、安く売られていた商品は硬くみえます。
資生堂は偽物が販売されていることを確認していて、「健康被害を引き起こすおそれもある」として、公式サイトで注意を呼びかけています。
国民生活センターによりますと、偽化粧品に関する相談件数は増加傾向にあり、5年間で4倍近くに伸びています。
『偽化粧品』被害に遭った Bさん
「『わーい』と思って、憧れのクレドみたいなところで、早速、使って香りが強い」
そこで取材班は、さらにもうひとつ、偽物がよく出回っているとしてメーカーが注意を呼びかけている化粧品を入手しました。
記者
「こちらが薬局で購入した正規品の美容液です。そして、こちらが偽物とみられる美容液です」
その商品は、ロート製薬の人気美容液「オバジC25セラム ネオ」です。一見同じようにみえますが、パッケージの「C」の部分に違いが。正規品には「C」の上に黒い線が重なっているのに対して、もう一方の商品には線がありません。中身を確認してみると、ネットショップで購入した商品は若干濁っているようにも見えます。
取材班は専門機関に鑑定を依頼しました。この商品には、濃度の高いビタミンCが含まれています。
日本分析化学専門学校 宮道隆 副校長
「ビタミンCが入っていると言われている化粧品なので、本当にビタミンCがあるかどうかというのを確認したい」
ビタミンCに反応する「ヨウ素」を使って鑑定します。まずは正規品。ヨウ素液に1滴入れるだけで、ほぼ透明に。3滴入れると完全に透明になりました。続いて、ネットで購入した商品は1滴、2滴、3滴入れても色は変わりませんでした。
日本分析化学専門学校 宮道隆 副校長
「ネットで購入した商品は、ビタミンCが含まれていないということから、偽物ということが言えるのではないかと思います」
警察も、偽化粧品の販売に対して取り締まりを強化していますが、偽化粧品は中国から発送され、犯罪グループの拠点も、中国にあるとみられていて、事件の全容解明は困難だといいます。
また、日本のメーカーも偽物とみられる商品があった場合、ネットショップ側に削除するよう求めていますが、追いつかない状況だということで、利用者側も細心の注意を払う必要がありそうです。