再審無罪確定の袴田巌さんに刑事補償金約2億1700万円を交付決定 47年以上の身体拘束で
1966年の静岡県一家4人殺害事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(89)の逮捕から釈放まで47年以上にわたる身体拘束への刑事補償金を巡り、静岡地裁が約2億1700万円を交付する決定を出したことが24日、関係者への取材で分かった。袴田さんの弁護団によると、刑事補償としては過去最高額とみられる。
拘禁症状が残る袴田さんに代わって成年後見人の弁護士が今年1月、国に約2億1700万円を求める請求書を地裁に提出していた。
刑事補償法は、無罪が確定した場合、国が1日当たり最大1万2500円を交付すると規定。裁判所が拘束期間や得られるはずだった利益などを考慮して金額を決める。
袴田さん側は、証拠を捏造されて死刑判決を下された冤罪だとし「死刑の恐怖にさらされ、肉体的、精神的苦痛による損害の程度は計り知れない。30歳という働き盛りの時期から拘束されており、逸失利益も相当高額」として上限額を求めていた。
地裁から請求に関し意見を求められた静岡地検は、拘束された1万7389日分の補償金が交付されるべきだとし「心身に与えた影響などを踏まえて適正かつ妥当な金額が算出されるべきだ」と言及したという。
袴田さんは事件から約1カ月半後に逮捕され、2014年3月27日に釈放された。昨年9月、静岡地裁の再審判決で無罪を言い渡され、その後確定。姉ひで子さん(92)と弁護士が成年後見人を務めている。