サッカーW杯、2034年はサウジで開催 人権団体から懸念の声も
国際サッカー連盟(FIFA)は11日の会合で、2030年、34年ワールドカップ(W杯)の開催地を発表した。
34年の開催地に正式決定したサウジアラビアについて、人権団体が懸念を指摘している。
どちらの大会も対立候補はなく、30年はスペイン、ポルトガル、モロッコの共催に決定。34年はサウジだけが立候補したが、同国の人権状況が問題視されてきた。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)のマイケル・ペイジ中東・北アフリカ副局長は最近、サウジで「想像を絶する人的代償」が生じると警告した。
同国にとってW杯招致は、スポーツへの大規模投資のひとつ。ムハンマド皇太子が主導する成長戦略「サウジ・ビジョン2030」の一環と位置付けられる。
これに対し、HRWは最近の報告書で、サウジが人権状況への批判をかわすためにW杯を使っていると主張。特に、建設などの負担を背負う外国人労働者の扱いに懸念を示した。
W杯開催地の選定に向け、FIFAが最近発表した評価報告書では、サウジでの人権上のリスクが「中程度」と判定されていた。
だがサウジ出身の人権活動家、リナ・ハズルール氏はこの判定に疑問を呈し、「どの国にも人権侵害はあるが、サウジは一線を越えている」と主張した。
HRWはFIFAに対し、外国人労働者や女性の権利、報道の自由などの人権問題が解決するまで、サウジ開催の決定を延期するべきだと呼び掛けた。
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」もFIFAに、サウジが大規模な人権改革を発表しない限り、開催決定の手続きを停止するよう求めていた。