袴田さんに再審判決 事件から58年、無罪の公算―26日午後・静岡地裁
静岡県で1966年、みそ製造会社専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審判決が26日午後、静岡地裁(国井恒志裁判長)である。再審は無罪や減刑を言い渡すべき新たな証拠が発見された際に開かれ、無罪となる公算が大きい。
最大の争点は、事件発生約1年2カ月後の67年8月に工場のみそタンクの中から見つかった血痕が付着したシャツなど「5点の衣類」が犯行着衣か否か。検察側は袴田さんのものだとして死刑を求刑し、弁護側は「(5点の衣類は)捜査機関の捏造」と訴えている。
昨年10月に開始した再審公判では、5点の衣類に残った血痕の赤みについて、法医学者ら5人の証人尋問が行われ、弁護側証人は「1年以上みそ漬けされた衣類の血痕に赤みが残ることはない」などと証言。検察側証人は「血痕に赤みが残る可能性はある」とした。
事件は66年6月、静岡県清水市(現静岡市)で発生。みそ製造会社の社員だった袴田さんは同年8月に逮捕され、80年に死刑が確定した。
確定判決は、5点の衣類を袴田さんが犯行時に着用していたと認定したが、弁護側の再現実験で「1年以上みそ漬けにされた血痕に赤みは残らない」との結果が出たことが決め手となり、再審が始まった。