物乞いに施しで逮捕? 社会復帰後押し、「やり過ぎ」の声も―印中部
「インド一清潔な都市」と呼ばれる中部インドール市で来年1月から、物乞いをする人に金銭や物品の施しを与えることが禁止となる。当局は違反者に厳しく臨み、立件する方針。
路上生活者の社会復帰を後押しするためとしているが、都市景観を守る目的もありそうだ。住民からは「やり過ぎ」との声も上がっている。
地元報道によると、物乞い行為については既に今年から禁止されている。当局幹部は今月16日、記者団に対し「今は(施し防止の)啓発キャンペーンだけで誰も逮捕していないが、来月からは措置を講じる」と語った。違反した場合、最長6月の禁錮刑と1000ルピー(約1800円)の罰金が科せられる。
インドールでは最近、寺院の前で物乞いをしていて保護された高齢女性がわずか1週間で約7万5000ルピー(約13万8000円)を受け取っていたことが判明。高齢者や子供に物乞いを強制するギャングも暗躍しており、今回の措置は収入源を断ち切る狙いもある。
同市に住むマーケティング業のリズワン・カーンさん(55)は「物乞いは街のイメージを損ねる」とし、当局の姿勢自体は支持。ただ、「(立件は)やり過ぎの措置で、もっと民主的な方法があるはずだ」と話した。
2011年の国勢調査によれば、物乞いや路上生活者は全土で約41万人。300万人以上が暮らすインドールはごみの収集や分別に力を入れており、中央政府による国内都市の清潔度ランキングで17年から連続してトップに位置付けられている。