閉場中の国立劇場でファッションショーが物議 ネット賛否「伝統芸能が使えないのおかしい」「良いのでは」
建て替えのため閉場中の東京・国立劇場で5日、「ファッションショー」が行われ、ネット上で論争が起きている。
国立劇場は1966年に開場し、歌舞伎や文楽、日本舞踊、邦楽など伝統芸能の保存や継承を目的として多くの作品が上演されてきた。しかし、施設老朽化への対応とバリアフリー化のために建て替えが決まり、2023年10月末をもって閉場した。
当初、2029年の再開場を目指していたが、建設費の高騰や入札不調で事業者の選定に至らず。再整備計画を改定して、早期の再開場を目指すとしている。
今回のファッションショーは閉場中の国立劇場を活用した事業として開催されたが、伝統芸能関係者やファンを中心に異議を唱える投稿がネット上に急増。長唄三味線奏者の三代目柏要二郎が自身のXで「歌舞伎公演とか日本舞踊公演とか長唄演奏会をやらせてください」と訴えたほか、三味線奏者の清元雄二朗が「あぁぁ…我々の仕事場が…」と嘆いた。日本舞踊家の二代目林一枝も「これ以上我々の聖地を取り上げる様な事しないでください」と怒りの声を上げた。
ファンからも「国は伝統文化をつぶすつもりなんでしょうか」「伝統芸能を公演できなくしておいてファッションショーに使うとか何事か」「なんでファッションショーやるの?観客入れられるんなら文楽や歌舞伎見せてくれんか?」「まだまだ利用できるのに伝統芸能関係に使わせないのはおかしい」「国立劇場は伝統芸能の公演を閉じておいて、ファッションショーは開催するのか」などと疑問の声が上がった。
一方で、伝統芸能上演に必要な舞台装置が老朽化しており、安全面の確保ができないという側面も指摘されている。今回のファッションショーでは舞台や一部楽屋など安全な部分のみ使用されたといい、「税金投入されるより自分たちで稼ごうとする考え方で良いと思った」「伝統芸能関係者やファンの、本質を理解しないポストで溢れている」「改修できなくて歌舞伎などには使えないから、ごく一部の安全な使える部分だけ使ってファッションショーしましたってちゃんと説明すればいいのに」などという意見も上がり、賛否真っ二つの状況となっている。