スーパーに侵入したクマ 捕獲も秋田市には駆除に「かわいそう」と抗議の電話が…被害増大も止まぬ“同情論”
12月2日、秋田市のスーパーに“立てこもっていた”クマが捕獲された。
各社報道によると、11月30日早朝、体長約1メートルのクマに男性従業員が店内で襲われ、顔などにケガを負ったという。
その後、クマは店内にとどまっていたが、1日夕に警察が箱わなを設置。2日早朝、クマ1頭がわなに入っているのが確認され、駆除する見通しだとしている。
秋田県内では、11月27日にも横手市の介護施設の倉庫にクマが侵入した後に捕獲されており、環境省が公表している令和5年度のクマによる人身被害者数も秋田が70件と全国最多だ。
近年、そのほかの地域でもクマが目撃されたというニュースが相次ぎ、とりわけ遭遇する可能性が高い地域に住む住民の間では、戦々恐々の声が上がっている。
いっぽう、クマの出没や被害に関連するニュースが出るたびに持ち上がるのが、駆除を行うことの“是非”をめぐった議論だ。
「’23年10月、秋田県美郷町の作業小屋にたてこもっていたクマ3頭が、関係各所の協議の結果、地元猟友会によって駆除されました。現場近くには県の認定こども園があり、市街地に現れたクマが住民を襲う危険性もあったことから、駆除の措置が取られたのですが、県に対して『クマが可哀想』といった抗議の電話が殺到したのです。さらに、その多くは県外在住者からの声でした。県知事は会見で、抗議電話には“カスハラ”めいたものも含まれていたとし、『付き合っていると仕事ができません。業務妨害です』と発言しています。県の職員は通常、問い合わせの電話を一方的に切ることはできないため、知事の発言を“心強い”と称賛する声も多かったようです」(全国紙記者)
スーパーに立てこもったクマが捕獲されたという今回の報道をめぐっても、一部では同情する声が上がった。
《殺処分か…かわいそうだな…冬眠前でお腹すいてたんだろうな…》《共存する道があるはずだよ》《山へ返して欲しいね… 》
いっぽう、実際に人間が襲われるなど被害が拡大していることもあって、こうした同情論に懐疑的な声も多い。
《相変わらず生かして山に返せ言ってる人本当お花畑だなと…》《クマがスーパーを餌場と認識した以上、生かしておく訳にはいかないでしょ》《ここにご飯があると覚えたクマを野に放ったら下手したら家族連れてくるし、何より人に怪我させてるから殺処分一択》
実際、今回も秋田市に抗議の電話が届いているのか。本誌は2日昼に市の農地森林整備課の担当者に話を聞いた。
まず、担当者は今回スーパーに現れたクマについて「駆除は終わったと思います。まだ連絡はきていませんが」と説明。
駆除の場所はスーパー店内で、クマに“吹き矢”で麻酔をかけた後、電気によって処分を行うとしている。
“かわいそう”といった抗議の電話については、「承っております。件数は数えていませんが、データベースには入れております」と話した。
また、今回の現場には大勢の警察が駆けつけ、猟友会も対応に当たっていたようだが、Xの一部では《結局殺処分するんやから、三日も掛けんとさっさとやればいいのに》といった声も上がっていた。これについて、担当者は以下のように話した。
「鳥獣保護管理法では、麻酔を含め銃器の使用が禁止されているため、その場ですぐに(処分する)というのが出来ないのです。街中に出た場合についても、禁止されている以上、警察の方の発砲許可しかないので。主導権は警察にあるんです」