豊昇龍 61年ぶり、歴代最多タイ3個目の金星配給「勉強ですね」 一山本には幕下時代を含め3連敗
◇大相撲春場所9日目(2025年3月17日 エディオンアリーナ大阪)
新横綱・豊昇龍が平幕・一山本のすくい投げに沈み、今場所3個目の金星を配給した。新横綱場所で3個の金星配給は歴代最多タイで昭和以降4例目。64年春場所での栃ノ海以来61年ぶりの不名誉な記録を打ち立ててしまった。
土俵下へ落ち、背中に土をつけた新横綱は苦笑いを浮かべていた。初日の阿炎、5日目の千代翔馬戦に続く金星配給。取組後、東の支度部屋へ戻って髪を結い直す間の取材には当初、応じない構えだったが、髪を直し終えると口を開き「立ち合いはもう1回あると思ったんだけど。立ち合いがしっくりこない」と口を開いた。
確かに立ち遅れ、一山本に左を深く差し込まれた。右上手を引ければ左四つは豊昇龍の型だろうが、指先が惜しくも届かず小手投げに切り替えたが背中から土俵外へ落ちた。
実は一山本を苦手にしてきた。中入り後の対戦は初めてだが、幕下時代に2度対戦があり2敗。「初顔だっけ?何回かやってた気がする」。その勝敗までは記憶にないようだったが、嫌な印象として記憶に刻まれていたようだ。
そして相撲人生の汚点とばかり捉える必要はないかも知れない。過去3例のうち、一人は優勝10回を誇った栃錦。後に初代若乃花と「栃若時代」を築き、「技の栃錦、力の若乃花」と並び称された。「勉強ですね」。それは豊昇龍も心得ている。