コメ価格、5キロで4000円に迫る 備蓄米放出発表後も高止まりのまま
政府が最大21万トンの備蓄米を放出すると発表してから約2週間が経過した。ただ、コメの価格は高止まりしたままだ。平均価格が5キロ当たり4000円に迫る勢いで、前年比は1・9倍。業者間の取引に大きな変化が見られず、店頭価格も下がらない。今月初旬の備蓄米の入札公告で売り出す銘柄と量が示され、手続きが本格化することで市場が反応するかが焦点だ。スーパーなどの店頭に並ぶのは3月下旬以降の見通し。
発表当初は放出開始前でも「アナウンスメント(発表)効果」で流通が正常化に向かうとの思惑が農林水産省などにあった。だが同省が公表する全国のスーパー約1000店での平均価格は、2月10〜16日に前年同期比90・4%高の3892円。大手コメ卸の幹部は「(放出表明で)流通が活発になり価格が下がると期待したが空振りだ」と話した。
コメ調査会社の米穀データバンクによると、業者間の取引市場では2月26日時点の新潟県産のコシヒカリ(玄米60キロ)が関東で4万8300〜4万8500円。1月下旬以降、価格水準に大きな変化はない。業者は備蓄米の放出を控え様子見の姿勢で、政府としては相場の下落を見越した事業者がコメを手放すと踏んでいただけに、もくろみが外れた形になっている。
3月下旬から備蓄米が出回っても「5キロ3000円」が壁になるとみる専門家や流通関係者は多い。農協などの集荷業者が24年産米の調達で、高い水準の前払い金を農家に支払っているためだ。都内のコメ卸売業者は「店頭価格は5キロで3000円台に下がるが、かつての2000円台には戻らないだろう」と話した。