都内高級ホテルが価格カルテルか、公取委が警告へ…15社が宿泊料など情報共有・高騰に影響も
ホテル同士が宿泊価格などを情報交換していた行為が価格カルテルにつながる恐れがあるとして、公正取引委員会が近く、「帝国ホテル」(東京都千代田区)など都内の有名ホテルを運営する15社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで再発防止を求める警告を行う方針を固めたことがわかった。
訪日外国人客の増加などでホテル業界は宿泊価格が高騰しており、情報交換が価格に影響していた可能性もあるという。
他に警告を受けるのは、「オークラ東京」(港区)や「ホテルニューオータニ」(千代田区)、「ハイアットリージェンシー東京」(新宿区)といった都内の有名ホテルの運営会社。
関係者によると、15社のホテル担当者は毎月都内で開かれる会合に参加し、客室の稼働率や宿泊料金の平均単価、今後の料金設定の見通しといった各社のホテル営業に関する内部情報を共有していたという。
公取委の調査では、各社が足並みをそろえて宿泊代を引き上げるなどの明確なカルテル行為は確認されなかったものの、実際に他社の情報を基に客室の料金を設定していたホテルもあった。公取委はこうした情報交換が今後、客室の価格を決めるカルテルにつながる恐れがあると判断。各社に警告を行い、状況を早期に是正する必要があると考えたとみられる。
ホテル業界を巡っては、コロナ禍後に宿泊旅行の人気が戻り、需要が回復している。昨年の国内の宿泊者数は延べ約6億5000万人で過去最多を記録した。訪日外国人客や日本人客が増え、ホテルの需要増に物価高などが重なり、宿泊料金の値上がりが起きている。
15社は既に会合を取りやめており、情報交換もしていないという。取材に対し、帝国ホテルは「情報交換については、不当な取引制限を意図して行ったものではないが、引き続き全面的に調査に協力していく」などとコメントした。
