「日本の平和主義に変化」 米メディア、戦後80年で関心
米主要メディアは広島原爆忌の6日、戦後80年の日本の歩みに関する記事を掲載した。被爆の実態や、関係者の高齢化による記憶風化への懸念を伝える一方、国際環境が変化する中、戦後日本が肯定してきた「パシフィズム(平和主義)」の転機に着目する報道もみられた。
ニューヨーク・タイムズ紙は「ヒロシマから80年」の特集を組み、原爆投下直後の広島市街地や、やけどと放射能被害に苦しむ被爆者の姿を当時の写真付きで詳報。核兵器の脅威が「日本に降伏を急がせたと考えられている」と論じた。
さらに、日本の隣国である中国、ロシア、北朝鮮が核兵器を保有し、アジアの安全保障環境が一変する中、「いかなる犠牲を払ってでも平和を追求するという国家の姿勢に疑問を抱く日本人が増えている」と指摘。不戦を誓う日本国憲法も、改正の機運が高まっていると紹介した。
ABCテレビは、世界の紛争への関与を避けてきた「戦後(日本)のアイデンティティーは変化しつつある」と言及。海上自衛隊の護衛艦が台湾海峡を通過した事例や、戦闘地域であるウクライナに岸田文雄前首相が訪問した実績に触れ、15日の終戦記念日を前に「日本の関心は追悼から『備え』に移っている」と指摘した。
