人為的に破られたとみられる幕（関係者提供）（２２日、山梨県富士河口湖町で）

山梨県富士河口湖町の「ローソン河口湖駅前店」前に町が設置した富士山の眺望を遮る黒い幕が、約１５センチにわたって破られたような跡が見つかったことが２４日、わかった。

町都市整備課によると、２２日午前、人の目線の高さに縦方向に１０センチほど破れているのを町職員が発見した。すぐに細い糸で補修したが、２４日午前にも同じ場所が再び破られているのを確認し、縫い合わせて修理した。

幕の設置後、撮影目的で幕に穴を開ける行為も確認されており、同課の担当者は「モラルを守ってもらいたい。町にはきれいな富士山が撮れる場所がたくさんあるので、足を運んでいただきたい」と話している。

幕は幅２０メートル、高さ２・５メートルの農業用の黒い遮光ネット。町は今後、幕をより強度の高い素材に張り替えることにしている。
町などによると、幕の設置で、歩道上に立ち止まって撮影する外国人観光客は大幅に減少した。以前は相次いでいた道路横断も防げているという。
幕の設置を巡り、町に電話やメールで３００件以上の意見などが寄せられている。多くが町外の人からの反対意見だった。

中には、電話で２時間以上、一方的に町の取り組みに批判的な意見を述べたり、攻撃的な言葉を使ったりする人もいた。多いときには、１日数十件もの電話が鳴ったこともあった。

担当する町都市整備課は本来、土木や道路、河川、建築などを担当しているが、業務に支障が出てしまっているといい、担当者は「見守ってもらいたい」と語った。