知床観光船「カズワン」事故、桂田精一社長を逮捕…業務上過失致死容疑
北海道・知床半島沖で2022年4月、観光船「KAZU I(カズワン)」(乗客乗員26人)が沈没した事故で、網走海上保安署は18日午前、カズワンの運航会社「知床遊覧船」社長の桂田精一容疑者(61)を業務上過失致死容疑で逮捕した。
事故は22年4月23日に発生。午前10時頃に北海道斜里町のウトロ漁港を出航したカズワンは、知床岬で折り返した後、午後1時半頃に知床半島西側の「カシュニの滝」付近で沈没した。
乗客24人のうち18人と船長(当時54歳)、甲板員(同27歳)の計20人が死亡し、乗客6人が行方不明となった。
国の運輸安全委員会は昨年9月、知床遊覧船の安全管理体制の欠如が事故の要因になったとする最終報告書を公表。
報告書では、船首甲板から船倉に入るためのハッチの蓋に部品の経年劣化や緩みがあり、ハッチ部分から海水が流入したことが直接の原因になったと認定した。
さらに同社で「安全に関する最高責任者」とされる安全統括管理者に選任されていた桂田容疑者には、船に関する知識や経験もなかった上、コロナ禍での資金繰り悪化を理由に安全確保に必要な人材を配置していなかったとも指摘した。
行方不明者6人については、既に全員の死亡届が提出されている。乗客のうち14人の家族29人は今年7月、桂田容疑者と同社に対し、計約15億円の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴。8月末には口頭弁論の開始に向けた進行協議の手続きが開かれている。
桂田容疑者は運輸安全委員会や家族の弁護団に対し、「ハッチの不具合は把握していない」などと回答していたという。