パレスチナ人の乳児3人凍死、冬本格化するガザ地区
パレスチナ自治区ガザ地区南部のマワシにあるテント村で25日、新生児が凍死する出来事があった。イスラエルの攻撃が続く中、家を追われたパレスチナの子どもが生存の危機に直面する状況を浮き彫りにした。
ガザ保健省の幹部ムニール・ブルシュ医師は同日、X(旧ツイッター)への投稿で、セラ・マフムド・ファシフちゃんがマワシで極寒のため凍死したと明らかにした。
ハンユニスにあるナセル病院の幹部によれば、ファシフちゃんに加え、生後3日と1カ月の新生児少なくとも2人が暖を取る避難所の不足や低温のため亡くなったという。
マワシはラファ西郊に位置する沿岸地区。以前はイスラエルによって「人道地区」に指定されていたが、繰り返しイスラエルの攻撃にさらされている。住む場所を追われた数千人のパレスチナ人が避難場所を求めて移住し、布やナイロンでつくった仮設テントで何カ月も暮らしている状況だ。
マワシの中庭を捉えたCNNの映像には、ファシフちゃんの父親(31)が白い布に覆われた小さな遺体を抱きしめる様子が映っている。別の場面では、ファシフちゃんの墓のそばにしゃがみ込むパレスチナ人の若者や男の子の姿も捉えられている。
ファシフちゃんの母親は25日、CNNの取材に「体を暖めようと抱いていたが、この子を暖めるだけの衣類が余っていなかった」と証言した。動画には顔面蒼白になったファシフちゃんの姿が映る。
イスラエルの攻撃はイスラム組織ハマス主導による昨年10月7日の奇襲後に開始され、かつて活気のあったガザを一変させた。家族が丸ごと消し去られ、飢えや強制退去、病気のまん延といった人道危機が発生。パレスチナ保健省の23日の報告によると、これまでに4万5000人を超えるパレスチナ人が死亡し、10万7000人が負傷した。