女子トイレに男性が コンビニトイレでマナー違反続出、施錠導入も 店側の本音「本当は貸したくない」
街の至る所にあり、誰でも使うことができるコンビニエンスストアのトイレ。だが、マナー違反やトラブルが起きているという声は絶えない。
公共性を持ちつつあるコンビニトイレは、誰もが安心して使うことができるようになるために、どうあるべきか探った。
「トイレを借りたいのですが」と、女性客がレジカウンターの店員に告げた。店員は「トイレの前でお待ちください」と応じ、カウンター横にあるボタンを押す。カシャッと音がし、「開きましたのでお入りください」という声が響いた。
京都府大山崎町下植野のファミリーマート大山崎インター店は、約20年前の開店当初から女子トイレに男性が入り、壁や床を汚されることに悩まされていた。
打開策として数年前から「女子トイレの施錠」に踏み切り、今年9月には遠隔で解錠ができる「オートロック電子錠」を、府のステップアップ補助金を利用して取り付けた。女性客からは「安心して使えるようになった」という好意的な声が聞かれたという。
店舗数国内3位(2024年1月調べ)のローソンは、1997年にコンビニとして初めてトイレ開放を始めた。同社広報部によると、全国1万5千ある店舗では、1日約100万人がトイレを利用しており「外出時にトイレに困っているお客さまなどに、重要な役割を担っている」と話す。
日本トイレ協会運営委員で、コンビニトイレについて研究してきた名古屋工業大の小松義典准教授が行った名古屋市内全域の貸し出し状況の調査によると、2007年の8割から、13年には9割の店舗で利用可能になっている。また、09年に同市市街地に立地し、男女それぞれに洋式便座が設置されている店舗利用者は年間計約5万3千人、男女比率は7対3だった。
小松准教授は「コンビニトイレを貸し出すことはサービスの基本になってきている。だが、百貨店のように女性に配慮したトイレが少ないため、女性の利用が少ないのではないか」と話す。山里さんは「女性が安心して外に出ることができる一助になれば」と使いやすい女子トイレへの思いを語る。
一方で、ローソン広報部は、繋華街では犯罪につながる行為がされていたり、器物が汚損されたりする例も散見されているとする。
小松准教授も、トイレの貸し出しは店舗にとって「おまけ」に過ぎず、維持管理の費用や万引などの犯罪などが起こりやすくなる負の要素もあると指摘。「本当は貸したくない」という店舗が多いという。30店舗のオーナーにヒアリングを行ったところ、約5割が負担を感じていた。
山里さんは「コンビニのトイレは好意で貸し出しているもの。店員へのリスペクトは欠かさないでほしいし、ルールを守って使用してほしい」と訴える。利用客のマナー頼みしかないのだろうか。