古代欧州人、敵の脳をすくって食べていた可能性 考古学調査で痕跡発見
かつての欧州に存在していた古代人類は、死んだ敵の頭蓋骨から脳をすくって食べていた可能性があるという研究結果が、科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
フランスとスペイン、ポーランドの研究チームは1万1000〜1万7000年前に現在の欧州で栄えたマグダレニア人の人骨10柱あまりを調査した。
画像診断技術を使って調べた結果、長骨の中の骨髄や頭蓋骨の中の脳が取り出された痕跡があることが判明した。
マグダレニア人の間では、葬儀としての人肉食や暴力の一形態としての人肉食が珍しくなかったことは、別の研究でも指摘されている。
ただ、今回のケースについては、遺体の儀式化に伴う特別な扱いやどくろ杯などが見られなかったことから、戦争に関係があったと研究チームは推測する。
調査したのはポーランドのクラクフ近郊にある洞窟から出土した人骨。この遺跡は長年にわたって研究されており、マグダレニア人が遺体の頭蓋骨を切り開いた理由についてはさまざまな説が浮上している。
今回、研究チームが電子顕微鏡を使って骨を調べた結果、68%に切り傷などの痕跡があることが分かり、自然現象ではなく人間が遺骨を傷つけていたことが裏付けられた。
「腕と脚の骨は切断され、骨髄が抽出されて消費されていた」と研究者は解説する。ただし年代が古いことから「戦争に伴う人肉食だったと100%言い切ることは難しい」とした。
人骨は少なくとも10人(成人6人、未成年4人)のもので、互いに血縁関係があった可能性もあり、今後DNA鑑定を行って詳しく調査する。