アウシュビッツ生存者死去 98歳、解放80年でスピーチ
国際アウシュビッツ委員会は18日、委員長でポーランド人のマリアン・トゥルスキさん(98)が同日、ワルシャワで死去したと発表した。第2次大戦中にナチス・ドイツがユダヤ人ら110万人以上を虐殺したポーランドのアウシュビッツ強制収容所の生存者で、収容所解放から80年を迎えた1月27日の追悼式典でスピーチし「憎悪は戦争につながる」と警鐘を鳴らしていた。
ポーランドでジャーナリストとして活躍したトゥルスキさんは昨年11月の共同通信のインタビューで、欧米で排他的ナショナリズムが広がっていることを憂いていた。後世に向けて「悪はゆっくり忍び寄り、気づいた時は手遅れだ。傍観するな、抵抗し続けろ」とメッセージを残した。
解放75年の式典でも、少数派への差別や権力を握る政府の横暴に「無関心になるな」と訴えていた。「アウシュビッツは急に空から降ってきたものではない」との言葉は国際的に反響を呼んだ。
国際アウシュビッツ委員会は1952年、強制収容所の生存者により、記憶の継承などを目的に創設された。