「心は女性」女装写真で偽り、施設利用の女性らに性的暴行 障害者支援団体代表の男に実刑判決
「心は女性」などと言って女装した写真も見せた上でマッサージだとウソをつき、自身が代表を務める障害者支援団体の従業員や利用者の女性3人に性的暴行を加えたり、わいせつな行為をしたりした罪に問われている男に対し、大阪地裁堺支部は27日、懲役6年の実刑判決を言い渡しました。
大阪地裁堺支部は「性自認を偽りマッサージ名目で犯行に及んだその手口は狡猾であり、繰り返している点から性的ゆがみがあるのは明らか。立場上優位であるのを利用した点も強い非難にあたる」と指摘しました。
■SNSに女装の写真…「心は女性」「マッサージの知識がある」誤信させ犯行繰り返したか
起訴状などによりますと、大阪府高石市にある障害者支援を行う事業所の代表・渡辺和美被告(57)は、2021年、事業所の従業員や利用者の女性3人に対し、マッサージを装い、性的暴行を加えたり、下半身を触るわいせつな行為をしたりした罪に問われています。
これまでの裁判で、渡辺被告は犯行時、被害女性に「見た目は男性だが心は女性で、ずっと女性になりたかった。性的な感情はない」「マッサージや美容の知識がある」などと言い、警戒心を弱めて抵抗しにくい状況を作っていたことが明らかになりました。
さらに犯行後には、「もし警察沙汰の話を持って来て金にしようとしているなら先に訴える」などとSNSでメッセージを送るなどし、事件の発覚を免れようとしていたということです。
渡辺被告は自身のSNSに女装した写真を載せていて、被害女性にもこれらの写真を見せていたとされています。
■被告は無罪主張「女性が触らせたきた」 検察は懲役7年求刑「巧妙で手慣れた手口で非常に醜悪」
渡辺被告は、いずれの起訴内容も否認し、「マッサージの一環であり、わいせつな行為をするには部屋が狭すぎる」「女性が自らズボンと下着を下げて触らせてきた」「性的暴行ではなく合意があった」などと話し、弁護側も無罪を主張しました。
一方、検察側は「本来は障害者を支援しその人生を支えるべき相談支援事業を営む渡辺被告が、その立場と知識を利用して従業員や利用者に対して起こした犯行」「巧妙で手慣れた手口である上、被害女性の立場に付け込み、犯行を隠そうとする行為も認められ非常に醜悪で、渡辺被告に有利な情状は何もない」として、懲役7年を求刑していました。
渡辺被告は判決が読み上げられている際、下を向いて体を揺らしながら、時折、首を横に振る様子も見られました。