トランプ米大統領「ロシアは全土占領可能」ウクライナに資源供与迫る 軍事利用の衛星遮断も
トランプ米大統領は21日放送のラジオ番組のインタビューで、ロシアのウクライナ侵攻についてプーチン大統領の責任を認めなかった上、プーチン氏が望めばウクライナの「全土を占領できるだろう」と述べた。ウクライナのゼレンスキー大統領が和平交渉を「難しくしている」と批判し、希少な鉱物資源の米国への供与を改めて迫った。
ゼレンスキー氏には和平交渉のカードがないとし、同氏の交渉参加は「正直言ってそれほど重要ではない」と主張。24日で侵攻3年となるのを前に、ロシア寄りの姿勢を鮮明にした。ウクライナ批判を先鋭化させており、反発が広がりそうだ。
ロイター通信は21日、トランプ政権がウクライナに対し、鉱物資源供与に合意しなければウクライナ軍が通信に使う米衛星インターネット接続サービス「スターリンク」を遮断する可能性があると警告したと報じた。同サービスは、政権の新組織「政府効率化省」を率いる実業家マスク氏の企業が運営する。
トランプ氏は「ロシアが攻撃した」としたが、侵攻の責任がプーチン氏にあるとの論調には「うんざりしている」と憤り「私がロシアに非はないと言うたびにフェイクニュースにたたかれる」と不平を漏らした。ロシアの侵攻を批判したバイデン前大統領やゼレンスキー氏は「間違ったことを言っている」と主張した。
来週訪米するフランスのマクロン大統領や英国のスターマー首相についても、戦争終結に向け「何もしてこなかった」とこき下ろし、自身が大統領に返り咲いたからこそ和平の機運が高まっているとの持論を展開した。
ウクライナから米国への鉱物資源供与に関する合意をまとめるため、ベセント財務長官を今月キーウ(キエフ)に派遣してゼレンスキー氏と会談させたが、合意できなかったとして「時間の無駄だった」と失望感をあらわにした。