篠田正浩監督が死去 女優・岩下志麻と結婚58年…おしどり夫婦で「理想の夫婦」選出 夫婦合作が遺作に
「心中天網島」「瀬戸内少年野球団」「少年時代」など数多くの名作を残した映画監督の篠田正浩(しのだ・まさひろ)さんが25日、肺炎のために都内の病院で死去した。94歳。妻で女優の岩下志麻(84)とは、芸能界きってのおしどり夫婦として知られていた。
岩下が19歳のときに初めて出演した映画「乾いた湖」の監督が篠田さんだった。64年の「暗殺」の打ち上げで訪れたナイトクラブで2人で踊っている時、「この人と結婚するだろうな」と予感した岩下が「わたし、監督と結婚するような気がします」と告白したのは有名なエピソードだ。
2人は1967年に結婚。同年、独立プロダクション「表現社」を設立し、この年3月3日のひな祭りの日に京都の寺で結婚式を挙げた。79年に長女が生まれ、長年に渡り芸能界きってのおしどり夫婦として知られた。
08年には、長野県安曇野市から「安曇野にふさわしい理想の夫婦」に選ばれたことも。夫妻は市のエグゼクティブアドバイザーに就任し、安曇野をPRしていた。
篠田さんは2003年公開の「スパイ・ゾルゲ」を最後に監督業を引退。同作は篠田さんが17年間温めてきた構想を映画化した渾身作で「これを最後に引退する」と表明し、作品に魂を込めた。妻の岩下がメーキング撮影を買って出て、最後の夫婦合作にもなった。
引退後は早稲田大学特命教授など後進への指導に当たった。
葬儀はすでに家族葬で執り行われ、後日「お別れの会」を開く予定となっている。